当科では、尾道市および近隣の医師会の連携施設と協働し、小膵癌のスクリ−ニングに力を入れ、成果をあげています。具体的には、膵癌診療ガイドラインに記載された危険因子を(糖尿病、膵癌の家族歴、慢性膵炎など)複数有する患者で、検診等の腹部超音波で膵管に軽微な拡張、嚢胞を認めた場合、腹部CTまたはMRIを撮像し、超音波内視鏡（EUS）を積極的に施行するアルゴリズムです。

　膵に腫瘍性病変が発見された場合は、入院によるさらなる精査に進みますが、経過観察可能となった場合でも、『地域連携パス』を発行し、連携施設と協働で厳重に経過観察する体制を整えつつあります。

　この結果、2007年以降、2cm以下の膵癌を54例診断することが可能となり、うち18例は膵上皮内癌でした。この成績は、国内外の学会発表、論文発表を通して大きな反響を呼んでいます。この『尾道方式』に基づき、北海道、埼玉、大阪、熊本などでも同様の取り組みが始まり、全国に早期診断の取り組みが広がりつつあります。

　今後とも尾道市医師会および近隣の医師会との良好な地域連携を生かして、1例でも多くの膵癌を早期に発見できるよう努力していく所存です。

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