大学病院から赴任して早いもので1年が経過しました。橋詰です。
この一年間の目標は、前任の先生方と比べて医療レベルを落とさない事でした。高くない目標ですが、まずはしっかりと新しい環境に慣れ、やるべき事をしっかりできるように自分の足場を固める事が大事だと考えました。
不慣れな環境の中、そして医療が進歩していく中で、新しい患者さんには当院でできうる最新の治療を行うよう心がけてきました。また今まで通われていた患者さんには、足りないところはないかと診療に見直しを加えました。
その結果、手術症例もさらに増え、2023年は130例以上の手術を行う事ができました。
いろいろと大変ですが、引き続き頑張って行こうと思います。
現在女性の一番罹患する癌は乳がんで、生涯9人に1人は患ってしまう時代になってしまいました。乳がん診療は検診、診断、手術、術後療法、再発治療、終末期と多岐にわたる状況に分類することができますが、当院は最初から最後までそのすべての状態に対応できる病院です。広島県の乳がん医療ネットワークにも参加しており、尾三＋福山地区ではすべての状況に対応している数少ない病院です。医療圏も尾三地区のみでなく、福山市、世羅町、府中市、竹原市、三次市、愛媛県からも多くの方々が受診されておられます。
当院には乳腺専門医以外にも、乳がん看護認定看護師や、乳腺に関わる資格を所持した放射線技師、検査技師の方々もおり、スタッフがチーム一丸となって皆様の信頼に応えられる様に頑張って診させていただきます。

画像検査
　当科のスタッフはマンモグラフィ読影認定を受けており、質の高いマンモグラフィの診断ができます。また施設としても、施設認定を受けており、質の高い画像撮影をしている事が認められています。乳房超音波検査でも、認定試験を受けており、橋詰自身も乳腺超音波講習会の講師をしております事に加え、今年から超音波機器が最新の最上位機種に変わりましたので、より正確な診断が提供できると思っております。

手術療法
　乳がん手術に習熟した医師による手術を施行しております。温存手術では形の整った整容性の高い手術を行っております。全摘の場合でも希望のある方には、再建手術を形成外科と連携して行っております。

薬物療法
　乳腺専門医、乳がん看護認定看護師、がん専門看護師、薬剤師、緩和ケアチームなど、他職種によるチーム医療を行い、チーム全体で患者さんを支えます。進行乳癌の症例には乳腺外科、がん診療支援部、乳がん看護認定看護師による支援も行います。新規薬剤に関する治験や全国規模の臨床試験にも参加していますので、最新の治療法を提供できます。遺伝カウンセラーによるカウンセリングや、ゲノム検査を行っています。
特に、これからの新薬にはゲノム検査が必須なものもありますので、この地域では当院の役割がさらに大きくなるものと思われます。

放射線療法
　温存した乳房に対する乳房照射やリンパ節転移が多い症例に対する、胸壁、腋窩、鎖骨上照射は再発率を減少させるためにとても重要です。放射線治療科と連携して、適切な放射線治療を提供しております。