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タイトル | 胸痛や背部痛を主訴としない急性大動脈解離について |
日付 | 2010-08-17 |
内容 |
2010.8.16 胸痛や背部痛を主訴としない急性大動脈解離について
急性大動脈解離の典型的症状は、?突然の胸背部痛、?これまでに経験したことのない激しい痛み、?痛みが移動する、である。しかし、実際には胸背部痛を主訴としない大動脈解離にも遭遇し、初期診断に苦慮することも多い。当院で経験した非典型的発症例を提示する。
Case 1 70歳 女性 診断:DeBakey I 型急性大動脈解離 夜間に洗面所で急に息苦しくなって倒れた。意識消失発作の主訴で当院に救急搬送された。搬送時血圧120/60mmHg、脈拍69/分、酸素飽和度100%(酸素5L)。来院時には意識清明。頭胸腹部CTを施行し、頭部CTに異常は認めなかった(胸部CTではこの時すでに大動脈解離を認めていたが、単純CTであったため診断に至らなかった)。状態が落ち着いたため(腰痛と軽度の胸痛は残っていたが)、脳神経外科受診を指示されて一旦帰宅した。翌朝に脳神経外科受診したが、大動脈解離を指摘されて当科紹介となった。
Case 2 62歳 女性 診断:DeBakey I 型急性大動脈解離 夕食の準備中に突然台所で倒れ、意識消失発作を主訴として救急車で搬送された。搬送時の血圧は80mmHgと低く、ドーパミンを開始した。呼びかけると覚醒し、上下肢に麻痺はなかった。胸部に不快感があり、心電図を施行したが虚血性変化は認めなかった。造影CTを施行し、DeBakey I 型急性大動脈解離と診断された。心嚢水も多量であり、心タンポナーデを合併していた。
Case 3 60歳 男性 診断:DeBakey I 型急性大動脈解離 会社に出勤後に突然の頭痛を自覚した。痛みが頚部から胸部に徐々に移っていったため当院に救急受診した。失神はない。心電図では虚血性変化がなく、心エコーを行なったところ心タンポナーデを認めた。緊急CTで頚動脈解離を伴ったDeBakey I型急性大動脈解離と診断された。
Case 4 54歳 男性 診断:DeBakey IIIb 型急性大動脈解離 昼ごろに突然の腰痛と右下肢のしびれを自覚し、当院救急外来を受診した。右大腿動脈の拍動が左に比べて減弱していたため、造影CTを行い、DeBakey IIIb 型大動脈解離と診断された。腹部大動脈レベルで真腔が偽腔に圧排され、真腔血流がかなり低下していた。右下肢は真腔から血流を受けていたため、右下肢虚血が生じ、しびれが発症していた。
急性大動脈解離の初期症状とその割合を以下の表に示す。
上記の表から、意識障害や腹痛、腰痛を主訴として搬送された患者においても、急性大動脈解離を鑑別疾患として意識する必要がある、ことがわかる。 世界的にも有名なMayo clinicでも、大動脈解離の初期診断がなされなかったcaseが38%であった、と報告されている。このことは多彩な症状を呈する大動脈解離の診断がいかに困難であるかを示しており、診断を誤らないためには、大動脈解離の存在を念頭において診察をすすめることが重要と考えられる。 |
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