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タイトル | 表在性静脈血栓症は予後が良いの? |
日付 | 2010-08-16 |
内容 |
2010.8.16 表在性静脈血栓症は予後が良いの?
表在性静脈血栓症は、皮膚表面を走行している静脈内に血栓が発生する疾患で、深部静脈血栓症とは区別されます。3つのタイプがあり、(i)静脈瘤を合併していないもの、(ii)静脈瘤を合併しているもの、(iii)伏在静脈内に血栓を生じたもの、に分類されます。多くは(ii)のタイプで、発赤、痛み、熱感を伴います。触ると、こりこりした索状物を認めます。治療は、まず消炎鎮痛剤の内服で局所の炎症をコントロールし、症状の軽減を図ります。この治療だけでは血栓が残存するため皮膚の硬結と色素沈五着は残ります。静脈瘤を合併していれば、引き続いて静脈瘤手術を行い、同時に血栓を除去します。この手術を追加施行することで血栓の進展と肺血栓塞栓症を防ぐことができます。このように、表在性静脈血栓症は大変予後の良い疾患である印象が強く、肺動脈血栓塞栓症を生じ時に致死的となる深部静脈血栓症とは大きく異なります。 しかし、最近、表在性静脈血栓症の25%に深部静脈血栓症を合併している、という臨床研究の結果がフランスから報告されました。これはPOST(Prospective Observational Superficial Thrombophlebitis)試験という大規模前向き疫学研究で、表在性静脈血栓症を有する患者の静脈血栓塞栓症の有病率、および血栓塞栓症の3ヵ月間の発症率を調査したものです。結果は、?25%が深部静脈血栓症または症候性肺動脈塞栓症を有していた、?深部静脈血栓症または肺動脈塞栓症がなかった患者を3ヵ月間追跡したところ、抗凝固薬を服用していたにもかかわらず、3ヵ月目まで追跡できた患者のうち10%で血栓塞栓合併症が起きていた、?深部静脈血栓症または症候性肺動脈塞栓症のリスク因子は、「男性」「深部静脈血栓症または肺動脈塞栓症の既往」「がん既往」「拡張蛇行静脈の欠如」であった、というものでした。 上記?は大変驚くべき結果でした。これまで表在静脈血栓症を発症している患者に対して下肢静脈エコーを行ってきましたが、深部静脈血栓症を発生している患者はなく、その後に深部静脈血栓症を発症して戻ってくることもありませんでした。しかし、?の結果を考慮すると、表在静脈血栓症を診察した時には確実に深部静脈血栓症や肺静脈血栓塞栓症を除外しておく必要があります。また、3か月の追跡で10%の血栓塞栓合併症が見られたことは、数カ月に渡る注意深い経過観察が必要であることを物語っています。 これまで予後良好と考えられていた表在静脈血栓症についての印象を180度転換しなければいけない報告であったと感じています。
(参考文献) Superficial venous thrombosis and venous thromboembolism: a large, prospective epidemiologic study. Decousus H, Quéré I, Presles E, Becker F, Barrellier MT, Chanut M, Gillet JL, Guenneguez H, Leandri C, Mismetti P, Pichot O, Leizorovicz A; POST (Prospective Observational Superficial Thrombophlebitis) Study Group. Ann Intern Med. 2010 Feb 16;152(4):218-24.
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