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1-1心臓血管外科 / メディカル情報

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タイトル 各疾患に対する当科の手術方針
日付 2010-01-06
内容

虚血性心疾患:薬剤溶出ステントの登場で冠動脈バイパス手術数は全国的に減少傾向にあり、合併症を伴ったhigh riskの患者さんが、手術の適応になることが少なくありません。そういった現状をふまえて、狭窄病変の程度や分布・心機能・全身状態や年齢を考慮に入れた?グラフト選択、?グラフトデザイン、?体外循環使用・非使用の選択(可能な限りの低侵襲手術を心がけており、体外循環を使用しないオフポンプ冠動脈バイパス手術を積極的に行っています)、?カテーテル治療(PCI)とのhybrid therapyを計画致します。陳旧性心筋梗塞等に伴って左心室が大きくなり心不全や弁膜症をきたしているような方に対しては、左室形成術弁形成術を行って、心機能や臨床症状の改善に努めています。


 

弁膜症:最近は、大動脈弁狭窄症で手術が必要となる御高齢の方が増加しています。また、大動脈弁狭窄症では狭窄後拡張による上行大動脈瘤を合併している場合も時に見受けられるため、当科では積極的に弁膜症手術+大動脈瘤手術を行なって中・遠隔期での大動脈解離の発症予防に努めています。

僧帽弁閉鎖不全症に対しては、形成術を第1選択術式としており、可能な限り患者様ご自身の弁組織を生かして、より心機能に優しい手術を心がけています。

また、慢性心房細動を伴っている場合は、弁形成術や生体弁置換術を行っても心房細動が残存すれば抗凝固薬(ワーファリン)を中止することができないため(弁形成術や生体弁置換術の場合は通常3カ月間で中止可能です。機械弁置換術の場合は、血栓予防のために生涯抗凝固薬の内服が必要です。)、積極的に心房細動手術(メイズ手術)を併施しています。さらに、心房細動手術を行なっても残存することがある術後心房頻拍(AT)に対しては循環器内科でカテーテルアブレーションを行なっており、外科と内科が総力を挙げて不整脈治療に取り組んでいます。

重度の弁膜症では、無症状であっても心臓の拡大や肥大が進行きている場合や心機能が低下してきている場合・心房細動等の不整脈が出現してきている場合などは、手術を受けられることをお勧めします。


 

胸部大動脈瘤胸部大動脈の径が5.5cm以上の場合に手術適応となります。また嚢状瘤の場合や大動脈弁狭窄症に合併した上行大動脈瘤の場合は、これより小さくても手術が必要となることがあります。胸部大動脈の手術では、術中の脳血流が生理的拍動流ではなくなるため血流低下による脳機能障害を発生しやすくなります。この術中脳血流低下を早期に発見するために、麻酔科医師と共に脳内酸素飽和度の非侵襲的連続測定を行っています。

 

腹部大動脈瘤腹部大動脈で径4.5cm以上・腸骨動脈で径3cm以上の場合は、破裂の危険が近づいており、手術適応となります。また拡大速度が速い場合や嚢状瘤の場合は、これよりも早めに手術が必要となることもあります。ひとたび破裂した場合、救命率が良い疾患ではありませんので、見つかりましたら定期的に検査を行います。手術適応サイズの方は、手術をお勧めします。

閉塞性動脈硬化症:この病気の方は、全身の動脈硬化がかなり進んでいる場合が多いため、術前に全身の血管を精査し、長期予後を考えて個々の患者さんにあったバイパスデザインを提供しています。特に近年はメタボリックシンドロームの増加に伴って動脈硬化性病変が高度な方が増えており、最近(20084月〜200912月)では当科で下肢動脈バイパス術を行った方の4人に1人はFontaine分類?・?度(?度:足が冷たい・しびれる、?度:歩くと足が痛い、?度:じっとしていても足が痛い、?度:足の壊疽・虚血性潰瘍)の重症虚血肢でした。

また、バイパス吻合部の内膜肥厚が進行して再狭窄にいたる(冠動脈ステント留置後の再狭窄のようなものです)方もおられるので、これを防ぐために先端がラッパ状に拡大した特殊な人工血管やご自身の下肢静脈を積極的に用いてバイパス手術を行なっています。

循環器内科のカテーテル治療と心臓血管外科のバイパス手術を組み合わせた下肢血行再建術にも積極的に取り組んでいます。

 

 
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