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前立腺がんについて

最終更新日 平成20年12月15日
 

前立腺がん

 
                                          JA尾道総合病院 泌尿器科

 日本では近年前立腺がんが急増しており、ここ10年で前立腺がんによる死亡者数は1.5倍に増えました。ことにPSA(前立腺特異抗原)の検査が導入されるようになってからは患者数の増加が著しく、その導入以前と比べて特に早期前立腺がん患者の割合が多くなっています。日本国内での前立腺がんの年齢調整罹患率(:/10万人/年)は19.9と胃がん、肺がん、結腸がん、肝臓がん、直腸がんに次いで6番目に高く、男性がん全部位の5.3%を占めています。さらに将来的には前立腺がん罹患数はさらに増加を続け、2020年には78,468人となり肺がんに次いで男性がんの2番目になると予測されています。
 当科において診断した前立腺がん患者数は2002年には30例、2003年57例、2004年57例、2005年68例と増加しておりますが、この患者数の増加傾向は尾道市の検診にPSAが組み込まれたことがその一因であると考えられます。その後の年間新患数は2006年66例、2007年67例とほぼ横ばいにて推移しています。
 前立腺がんについての診断や治療法の決定には、患者さんの年齢、全身状態、社会的な状況などさまざまな事柄が関与してきます。PSAがやや高いために受診された患者さんに対しては、受診時ただちに前立腺針生検の計画をたてる?それとも合併症をお持ちの患者さんや高齢の患者さんの場合は3〜6ヵ月後に再検をしてもう一度検討してみるか?という判断にせまられますし、また前立腺がんが確定しても、前立腺がんは一般的には進行が遅い病気であるということを頭の中におきつつ、前立腺がんの進行度と患者さんの年齢や全身状態とを考え合わせて適切な治療法を提案しなければなりません。
 2005年に当科において診断された68例の前立腺がん患者に対して選択された治療の内訳は、前立腺全摘除術20例、放射線治療5例、抗男性ホルモン療法37例、経過観察5例、転院のため治療内容不明が1例でした。
 当科では患者さんの状態に応じて最も適切であると考えられる治療法を提案したうえで、最終的には患者さんご自身に決定していただくように努めています。
 
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