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がん診療連携拠点病院

がん(癌)とは…?
≪膵臓がんについて≫

がん(癌)とは?
 

膵臓がんについて

最終更新日 平成20年12月15日
 
作成責任者:内視鏡センタ−長 花田敬士

作成年月日:平成20年7月17日

 
目次
 
 1 膵癌とは
 2 統計(危険因子)
 3 症状
 4 検査
    (1) 血液検査
    (2) 画像診断
    (3) 病理学的検査
 5 診断
 6 病期
 7 治療
    (1) 手術
    (2) 化学療法
    (3) 放射線療法
    (4) 対症療法
 8 予後
 9 その他(当院の状況)
 10 参考文献
 
 

膵癌とは

 
 膵臓は長さ15cm、幅3〜5cmの細長い臓器で、胃のちょうど裏側に存在し、主な働きは腺房細胞で産生される膵液によって、十二指腸〜小腸で行われる食物の消化、吸収(外分泌作用)と、インスリン等のホルモンの産生(内分泌作用)に分けられます。通常『膵癌』とよばれるものは、膵液が運ばれる『膵管上皮』由来が80〜90%とされています。
 
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統計(危険因子)

 
 厚生労働省の調査では、2004年の国内死亡数が22260人(男性11933人、女性10327人)で死因別では男女とも第5位で、年々増加傾向にあります。膵癌に対する有効な拾い上げ検査法が確立されておらず、高危険群の設定が難しいこと、手術以外の有効な決定打となる治療が確立されていないことが一因と考えられます。2006年3月に発刊された『膵癌診療ガイドライン(金原出版:日本膵臓学会:www.suizou.org)』では、膵癌の家族歴があること、糖尿病、慢性膵炎、喫煙が危険因子として挙げられています。
 

症状

 
 上腹部痛、左側腹部痛〜左背部痛、体重減少、軟便、黄疸、糖尿病のコントロ−ル不良等ですが、初期には無症状のことがあります。膵頭部(膵の右側)の癌では黄疸等が初期から出現することがありますが、膵体尾部(膵の左側)の癌では症状がかなり進行しないと出現しません。早期発見のためには、人間ドックや検診で『アミラ−ゼ』(膵酵素の1つ)が高い、超音波検査で、『膵管拡張』『膵に嚢胞(水のふくろ)』がある等の所見があった場合、速やかに、膵癌症例を豊富に経験した膵臓専門医が常駐する、信頼できる医療機関での精密検査が必要です。
 

検査

 
(1)血液検査
 膵酵素であるアミラ−ゼ、リパ−ゼ、エラスタ−ゼ、GOT、GPTなどの肝機能異常、CEA、CA19-9、DUPAN2などの腫瘍マ−カ−の上昇が認められる場合がありますが、初期には全く異常が認められない場合があります。
 
(2)画像診断
 腹部超音波検査(US)、腹部CT検査、腹部MRI(MRCP)、超音波内視鏡検査(EUS)、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)、などが行われます。また、近年FDG-PETの有用性も報告されています。膵癌検出の間接的所見として、『膵管拡張』が重要ですが、USは膵全体を描出できない場合があります。径2cm以下の『小さな膵癌』の描出能は、EUSが最も優れており、早期発見に大変大きな役割を果たしています。
 
(3)病理組織学的診断
 ERCPの手技を応用して、膵管内の細胞を採取し、顕微鏡で良悪性の判定をする方法も有用です。また、膵病変を超音波内視鏡で描出しながら腫瘍組織を穿刺吸引し、組織診断する方法(EUS-FNAB)が普及してきました。合併症は極めて少なく、安全にかつ、高い正診率が得られます。
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診断

 
 右に診断の手順を示します (膵癌診療ガイドライン2006 より)。臨床症状、血液所見、 画像診断、病理組織学的診断を 総合判断して、診断します。
 

病期

 膵癌の進行具合を、腫瘍のサイズ、 前方、後方、大血管、隣接臓器、リンパ節、他臓器への浸潤、転移の程度で、5段階に分類します( Stage機↓供↓掘↓a、b )。この進行度が、外科手術、化学療法、放射線療法、対症療法等の方針決定の重要な判断材料となります。 Stage機銑靴泙燭廊aの一部までは外科手術を中心とした治療が想定されます。
 
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治療

 
(1)手術
 癌を含めた膵臓を切除する方法には、膵頭部(膵の右側)の場合、膵頭十二指腸切除術(膵頭部、胃の一部、総胆管、胆嚢、十二指腸を切除)が、膵体部から尾部(膵の左側)の場合、膵体尾部切除術が施行されます。癌が膵全体に広がってい場合、稀に膵全摘術を行う場合もあります。
 
(2)化学療法
 従来は5-FUが治療の主体でしたが、2001年にGEMCITABINE (ジェムザ−ル) が、2006年にTS-1(ティーエスワン)が保険適応となり、有効性が期待されています。腫瘍縮小効果にやや乏しいものの、症状緩和効果に優れ、生存期間の延長、術後の再発予防効果等が報告されています。75歳以上の高齢者における安全性も報告されています。現在、手術不能例における、ジェムザールとTS-1の最適な投与方法の検討が、国内の多数の施設が参加して行われています。また、外科手術後にジェムザールを一定期間、補助化学療法として用いる方法が、予後の延長に寄与することが明らかとなりました。
 
(3)放射線療法
 体外から照射する外部照射と、手術中に行う術中照射があります。進行度がStageaで、大血管などに局所進行しているため切除不能となった例においては、5-FU、ジェムザールなどの化学療法との併用で優れた治療効果が報告されています。また、外科手術後に、放射線療法と化学療法を併用する方法の治療効果が現在検討されています。
 
(4) 対症療法
 膵頭部癌で、総胆管に浸潤があり黄疸を認める場合、内視鏡または、経皮的なル−トを応用して、狭窄、閉塞した総胆管にチュ−ブ、あるいはステントと呼ばれる人工的な管を挿入して、黄疸の改善を図る場合があります。癌性疼痛に対しては、初期には消炎鎮痛剤を、増強した場合には、モルヒネ製剤を用いる場合があります。その他、腹腔神経節をエタノ−ル、局麻剤でブロックする場合もあります。
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予後

 
 日本膵臓学会による全国膵癌登録によれば、1990年代以降、年々膵癌の予後は改善が見られ、2001年のGEMCITABINE登場以降その傾向が強いようです。
  切除例 非切除例
(%) 1991-2000年 2001-2004年 1991年-2000年 2001年-2004年
1年生存率 48.4 63.9 8.6 26.0
3年生存率 20.0 24.2 0.9 3.4
 化学療法と放射線療法の奏功率は20〜30%と決して良好とはいえませんが、長期生存される症例の報告も出始めています。今後新たな、分子標的薬等の登場でさらなる予後の改善が期待されています。
 

当院の現状

 
 当院は、消化器内科、内視鏡センタ−、消化器外科、放射線科、病理研究検査科が協働で、高度な診断・治療を展開しています。年間御紹介頂く膵癌の新患患者数は30〜40例です。膵癌に関する内視鏡検査件数(ERCP応用手技380件/年、EUS、EUS-FNAB計400件/年)が大幅に増加しました。膵癌に関する診療について、消化器内科は花田(内視鏡センタ−長、広島大学臨床教授)、日野(診療部長、広島大学臨床教授)、平野(内科部長)、飯星(内科部長)、外科は福田(部長)、黒田(院長、広島大学臨床教授)が主として御相談を承ります。セカンドオピニオンもお気軽に御相談下さい。特に当院は、75歳以上の高齢者膵癌の診療経験が豊富です。
 また、膵腫瘍に関する地域連携クリニカルパスを作成し、病院と尾道地区の診療所の双方で診療情報を交換しつつ、患者さんを見守るシステムの構築を目指しています。
 詳しくはこちら、『地域における早期膵癌発見の取り組み』
 

主な参考文献

 
  • 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン作成小委員会編.膵癌診療ガイドライン.金原出版、東京、2006.
  • 花田敬士、日野文明、天野 始ほか.高齢者切除不能膵癌におけるGEMCITABINEの有効性.癌と化学療法 29:2521-2525,2002.
  • 花田敬士、天野 始、平野巨通ほか.Quality of lifeを考慮した切除不能高齢者膵癌の治療選択−GEMCITABINE−.老年消化器病17:33-37,2005.
  • Hanada K, Hino F, Amano H, et al. Current treatment strategies for pancreatic cancer in the elderly. Drug Aging 23: 403-410, 2006.
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